山形県高木酒造の「十四代」は、その人気から手に入れるのが困難で、プレミア価格がついて1本数万円もするようなものもあります。
最近では、日本航空国際線のファーストクラスで導入されたり、中田英寿氏がテレビで紹介したりといった事もありましたね。
今回はそんな貴重な十四代11種類を飲み比べるという、なんとも贅沢なイベントに参加してきました。
場所はいつもお世話になっている大阪府江坂にある「酒友」さんです。
十四代が店内にずらっと並んでいます、圧巻ですね。
同じ十四代でも、使われている米や熟成年数など様々な違いがあります。
1.十四代 双虹(23BY・1年熟成・兵庫特A山田錦35%・雫取り斗瓶囲い生詰・平成24年全国新酒鑑評会金賞酒)<生詰>
2.十四代 角新 大吟醸(24BY新酒)兵庫県特A山田錦35%・槽垂れ<本生>
3.十四代 愛山(23BY・1年熟成)純米吟醸 中取り<生詰>
4.十四代 雄町(23BY・1年熟成)純米吟醸 中取り<生詰>
5.十四代 山田錦(23BY・1年熟成)純米吟醸 中取り<生詰>
6.十四代 出羽燦々(22BY・2年熟成)純米吟醸 中取り<生詰>
7.十四代 角新・山田錦/出羽燦々(23BY・1年熟成)純米吟醸 中取り<本生>
8.十四代 吟撰(23BY・1年熟成)吟醸 中取り<生詰>
9.十四代 槽垂れ おり絡み原酒(24BY・新酒 荒走り)純米吟醸<本生>
10.十四代 槽垂れ 原酒(21BY・3年熟成)純米吟醸<本生>
11.十四代 無濾過(23BY・1年熟成)純米 中取り<生詰>
これを見て「なるほど!」と思った方は、かなりの日本酒ツウ。
大多数の方が何のことか分からないでしょう。
以下、用語の解説をしていきたいと思います。
吟醸・大吟醸
日本酒は、精米歩合によってその呼び名が変わります
玄米の状態からお米の20%を削り落としたものは、精米歩合80%になります。
通常は70%程度ですが、60%以下になると「吟醸酒」、50%以下になると「大吟醸酒」となります。
吟醸系の日本酒は香りが豊かでフルーティーなものが多く、初心者にもオススメです。
詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
おいしい日本酒に巡り会うためにこれだけは覚えておきたい2つのポイント
山田錦・愛山・雄町・出羽燦
これらはは日本酒造りに使われているお米(酒造好適米)の種類です。
山田錦は代表的な酒造好適米ですが、その中でも特Aというものは兵庫県北西部で生産されたもので、山田錦の中でも特に良質とされ別格扱いされています。
雄町は主に岡山で生産されており、山田錦など数多くの酒米の親となる品種です。
愛山は兵庫県で栽培されている米ですが、生産量が少なく、十四代や磯自慢など限られた蔵でしか使われていません。
出羽燦々(でわさんさん)は十四代の生まれ故郷でもある山形県で生産される酒米です。
酒造好適米についてはこちらの記事も合わせてご覧下さい。
日本酒選びが楽しくなる!山田錦・五百万石・雄町など日本酒に使われているお米(酒造好適米)を知ろう
BY
「Brewery Year」つまり醸造年度のことです。
23BYは平成23年7月から平成24年6月までの間に醸造されたお酒のことを指します。
1~12月ではないのがポイントですね。
荒走り・中取り
日本酒の原料を発酵させると、液体と固体が混じった醪(もろみ)が出来上がります。
この醪をを絞った時に出る液体が日本酒となり、残った固形物が酒粕となります。
醪から液体が流れ出る段階によって、その呼び名が変わり、順に「あらばしり」「中取り」「押し切り」となります。
それぞれの特徴については、こちらの記事をご覧下さい。
「あらばしり」「中取り」「押し切り」あなたはどのタイプの日本酒がお好き?
生詰、本生
日本酒は製造工程において貯蔵前と瓶詰めする前に2度の加熱処理を行います
この加熱処理をせずに出荷された日本酒を「生酒」と言います。
貯蔵前の火入れだけをしたものを生詰め酒と呼び、全く加熱処理しないものはそれと区別するために「本生」と呼ばれることもあります。
フレッシュな味わいが特徴で、好んで生酒を飲まれる方も多いです。
詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
生ビールもいいけれど、たまには生酒はいかが?
槽垂れ
醪を搾る装置には昔ながらの「酒槽(さかふね)」というものがあります。
この酒槽で絞った後濾過などの工程があるのですが、垂れてきたままの酒を出荷したものを「槽垂れ」といいます。
通常の酒と比べて酸味やコクが強くなります。
おり絡み
醪を細かい目の布などである程度絞った後に残る白い沈殿物を滓(おり)と呼びます。
通常は濾過をしてこれを取り除くのですが、それをせずに瓶詰めした日本酒をおり絡みと呼びます。
おり絡みの酒はコクがあり、また微発泡のものが多いです。
雫取り
雫取りとは、醪を酒袋と呼ばれる木綿の袋に詰めて吊るして、自然に落ちてくる酒を集めたものです。
手間がかかりますが、雑味の少ない綺麗な酒に仕上がります。
無濾過
日本酒は製造工程の中で、液体に混じっている細かな固形物や雑味を取り除くための濾過作業を行なっています。
この濾過作業をせずに出荷したものを無濾過の酒と呼びます。
でははぜ濾過をしないのか?面倒くさいという事ではありません、その理由はこちらをご覧下さい。
無濾過の日本酒、あえて濾過しないこだわりの理由とは
原酒
日本酒を作る工程の中では、通常は水を加えてアルコール度数を調整する「割水」という作業があります。
原酒はこの「割水」をせずに出荷された日本酒の事を指します。
よってアルコール度数は通常よりも高く、しっかりと濃厚な味わいになります。
日本酒の味をダイレクトに楽しみたいという方にオススメです。
詳しくはこちらの記事をご覧下さい。
原酒を飲んでみよう!普通の日本酒じゃ物足りないというアナタへ
斗瓶囲い
搾った酒を一升瓶の10倍の容量を誇るガラス瓶に詰めて貯蔵したものです。
貯蔵タンクよりも小さいので温度管理がしやすく、品質を安定させやすくなります。
そのため鑑評会に出品する用の酒など、特別に造ったものを保管する事が多いようです。
このように、日本酒には様々な用語が用いられます。
少しややこしいですが、どれも味のある言葉だと思いませんか?
そして覚えておくと、日本酒選びがもっと楽しくなると思います。
酒友さんのブログにはイベントの様子が掲載されています。
第1回『春の定例会!十四代の希少&代表銘柄を一挙に飲み比べる会』終了レポート
どれが一番旨いかという話になったのですが、それぞれ個性がありどれも美味しくて選べませんでした^^;
最初は真剣に飲み比べていたのですが、しばらくたつと何でもいいのでとにかく飲んで食べて楽しんでという雰囲気に。
酒に合わせて出された料理も素晴らしかったですね。
酒友さんでは定期的にイベントを開催しているようなので、関西近辺の方はぜひチェックしてみてくださいね!